無人の店舗でどうやって買い物するのですか?
実験が始まったのは、東京・北区のJR赤羽駅のホームにあった「KIOSK」の跡地。
小さなコンビニ風の店舗には、入り口に設置された機械にJR東日本の電子マネー「Suica」など交通系のICカードをかざして入店するの。
店内の天井や陳列棚には、AI=人工知能とつながった、およそ80個のカメラが設置されていて、それぞれの客がどの商品を手に取ったかを瞬時に把握できるようになっている。
客がそのまま商品を持って出口の前に立つと、購入した商品の種類と合計金額がディスプレイに表示され、決済用の機械にカードをかざすと支払いが完了するというわけ。
レジの順番を待ったり、お金のやり取りに手間がかかったりすることがなく、スムーズに買い物ができそうですね。でも、そもそも無人化の狙いは?
消費者にとって便利な店にしたいというのはもちろんだけど、背景には、深刻な人手不足で店員の確保が難しくなっていることがある。それに駅の売店は、新聞や雑誌、たばこなどの販売が減って、採算性が厳しくなっている。だから店舗を無人化することで、人手を減らしながら運営できる店を目指しているんだって。
同じような無人の店舗は、中国でも導入されているほか、IT大手の「アマゾン」もアメリカのシアトルでオープンしているそうよ。
駅の売店の姿は変わっていきそうですね。
そうね、従来のキヨスクは、旧国鉄時代、ピークの1965年に全国で5000店以上あったんだけど、1990年代以降、地方の駅を中心に乗降客が減った影響で、ホームごとにあった売店を集約する動きが進んだ。それに、このころからコンビニ型の店舗や、土産物専門の店に業態を変えるケースも増えたの。最近では、従来のタイプの売店は、ピーク時の10分の1以下の400店ほどに減ったんだって。
実際に、駅に無人店舗が導入されるのはいつ頃になりますか。
まだ実用化の見通しは立っていない。今回の実験では、入店できるのは3人まで。客が手に取った商品を同時に認識できる人数に限界があるからなんだって。実用化に向けては、さらにAIの商品の認識率と精度を高める必要がある。それに、従業員はいなくても、商品の入れ替えなどには人手が必要になるという課題もある。今後こうした課題が解消できれば、ホームに無人店舗があるのが、当たり前になる日も来るかもしれないわね。
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